栃木県塩谷郡高根沢町大字上柏崎にあるたかねざわ元気あっぷむらは高根沢町を一望できる高台に場所を構える。自然に囲まれた中で季節ごとの景色を楽しむことができ、広い敷地の中には毎日お湯を変える清潔な天然温泉や宿泊施設、3つのレストラン、地元の新鮮な野菜をそろえる直売所、季節ごとのイベントを楽しむことができる観光施設である。たかねざわ元気あっぷむらの駅長、中山肇さんに地域を元気にする取り組みについて話を聞いた。
【「たかねざわ元気あっぷむら」取材班】
いきたくなる場所、ここにしかない場所を目指して
JR宇都宮駅から「宝積寺駅」で下車後、送迎バスでおよそ15分。お城のような建物が我々を迎えくれてくれた。地元の農家が生産した新鮮な野菜や米が並び、それを求める人で賑わう農産物直売所、イタリアの雰囲気を楽しむことができるジェラート屋さん、和食・イタリアン・高根沢産の食材を豊富に使用したレストラン、沖縄そばを楽しむことができる食堂、子供たちが遊ぶことができる広場、非日常を体験することができるグランピング施設などがそろっている。なんといっても全国でここだけのアメリカ製のトレーラーハウスが15台も設置されている宿泊施設は来た人を魅了する施設だ。30年前から〝いきたくなる場所、ここにしかない場所″を運営方針とし、たくさんの人に利用してほしいと願われながら発展を続けてきた。

リニューアルで生まれ変わる
温泉だけでなく多くの魅力にあふれ、今でこそテレビ番組の取材を始めとした注目を浴びているたかねざわ元気あっぷむらだが、元々利用者はシニア層が多く、施設も30年以上経過し温泉施設の機械は老朽化が進んでいた。中山さんが赴任した当初、今後の運営について再建のためのアイデアを思い描いていた。それでも「なんとかして高齢の方だけでなく、若い世代、新しい世代の人を取り込みたい」という思いから、SNS(交流サイト)での情報発信や定期的なイベントの開催、安全性を確保するための温泉施設の配管の工事、自動車を保有していない人でも気軽に訪れることができるように宝積寺駅からのシャトルバスの運行などを始めた。
「一番大事なことは自分たちが楽しくないとお客さんもそれを汲み取ってくれない楽しいという雰囲気をさらに前面に推し進めていきたい」と話す中山さん。自身のエピナール那須(栃木県那須市)、アイランドホテル(長野市)でのマネージャー、旅行業界での経験を通して気が付いたそうだ。旅行会社で海外旅行の企画の仕事に携わっていた中山さんは、30年以上前アメリカのディズニーランドに行った際にサービスのクオリティーに圧倒されたそうだ。それだけでなく、利用者の表情から本当に楽しんでいることが伝わったということから「自分たちが楽しんでいるところを前面に出して、それをお客さんに喜んでもらう」。そういうことをしたいと語った。「カクテル」というアメリカのサクセスストーリーを描く映画で映ったことのあるマイアミやロサンゼルスのホテルやカリブ海、ハワイなど海外のいろいろな場所のものを見たことで、日本のリゾートホテルには、那須ならではの企画をしたところ、人々の需要に的中しペダルを大きく踏み込むような成功をつかむことができたそうだ。

全国に笑顔を発信
道の駅たかねざわ元気あっぷむらが、日本テレビ系列の人気番組「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」に2025年11月22日に紹介された。全国放送の番組内で取り上げられたことで、同施設の魅力が広く視聴者に伝えられる機会となった。番組では、「道の駅」を巡る企画の一環としてたかねざわ元気あっぷむらが登場し、施設内の様子や地元ならではの特産品、グルメなどが紹介された。訪問者が実際に施設を巡りながら魅力を体感する様子が放送され、地域の温かさや個性が印象的に伝えられていた。テレビ出演(放映)を通じて、これまで訪れたことのない人々にも高根沢町の魅力を知ってもらうきっかけになったと、中山さんは語る。実際、放送後に栃木県内の町民以外の人や、県外から訪れる人が増えたそうだ。
高根沢町への思い
元気あっぷむらの管理を行っている株式会社元気あっぷは、高根沢町の税金で運営されている。そのためたかねざわ元気あっぷむらの運営において、高根沢町民に利用してもらうことを優先的に考えていると中山さんは語る。現在温泉の入浴料金は一般の大人料金が700円(税込み、以下同じ)、高根沢町民が500円となっている。もっと高根沢町民に利用してもらうために、500円の入浴料金をこれからも続けていくほか、各種割引がある町民カードを広めることに力を入れているそうだ。また中山さんは併設する直売所に売られている地元の野菜の魅力を語った。町の面積の約5割を水田が占めている高根沢町。この町で働くようになって中山さんは、野菜や米のおいしさに驚いたという。高根沢町で育った米や野菜を地産地消できるたかねざわ元気あっぷむらの直売所は、高根沢町の農産物の魅力を内外に広める役割を担っていくのだろう。
取材班からの提案
中山さんとの話し合いの(インタビュー)中で中山さんから「大学生という立場からたかねざわ元気あっぷむらに必要なもの、あったらよいものは何だろうか」という問いをいただいた。地域をより活発にしたい、たかねざわ元気あっぷむらをより良くしたいという思いから私たち取材班に、大学生なりの若者の視点から自由な意見を出して欲しいとのことであった。 まず、取材班が「誰でも気軽に立ち寄れるカフェをつくる」と提案をすると、中山さんは「確かに人が集まれる場所は大切だな」とうなずかれた。住民や来訪者が交流できる、リラックスできる場所があれば、賑やかになると考えた。また、ペットを飼っている人も楽しめるよう、ドッグランを併設するという案も出た。さらに、体を動かせるスポーツ施設をつくることで、こどもから高齢者まで広い世代で健康的に楽しめる空間がつくれるのではないかという意見も出た。イベント面では、クリスマスマーケットやライトアップをするなどの季節限定イベントを開催することで、主に若年層のお客さんを集客し、季節ごとにイベントで盛り上がりを演出すると考えたほか、ビンゴ大会のような参加型のイベントにより、地域の一体感を高めるのも良いという声もあった。中山さんは私たちの提案も参考にして、たかねざわ元気あっぷむらをもっとより良くしていきたいと語った。
大学生の私たちに
中山さんは大学生のころ将来について明確な道筋がたっていなかった。それまではとりあえず大学に行けばよいと考えていたものの、親からの期待に沿った教員という道には興味が持てなかった。大学を卒業後「自分のステージは海外だ」という情熱から旅行会社へ進む。今は後悔はないと語る中山さんでも「若いうちから自分の夢を叶えるために具体的に何をするかの組み立てをすることができれば、もっともっと違った人生があったのかな」と若いうちから将来について考えることの大切さを教えてくれた。常にナンバーワンになりたいと思う向上心を忘れないように仕事に取り組んでおられる中山さんは、70歳になった現在でも、具体的に何をやればよいかを考えて行動すればなんでもかなうという気持ちを忘れずにいる。これから何者にもなれる私たちは大きな希望を持って歩んでいきたい、われわれ取材班もそう心に誓うことができた。
(略歴) なかやま・はじめ 1955年、千葉県生まれ。ホテルエピナール(栃木県那須市)、アイランドホテル(長野市)でのマネージャー、旅行会社を経て 2024年、「たかねざわ元気あっぷむら」駅長に就任。趣味は音楽演奏、読書、ゴルフや旅。
取材班は、仲山瑞基、渡辺頼人、塚本将人、早乙女叶佳、林みるく、鈴木紅羽(いずれも宇都宮大学地域デザイン科学部「地域メディア演習」履修生)


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