しずおかキャンパる

うにころの活動と雰囲気

 静岡大学の非公認イラストサークル「うにうに*ころんびあ」(うにころ)は、絵を描くことを中心に、楽しみながら交流することを大切にしているサークルである。われわれ取材班は、サークルの活動を取材した。

【「うにころ」取材班】

うにころの活動内容

 「うにころ」の活動は、週に1回、木曜日の昼休みに、静岡キャンパス(静岡市)の学生会館2階で行われており、毎回15人ほどのメンバーが集まる。活動時間中は、各自が自由に過ごすのが特徴だ。

 黙々とイラスト制作に取り組む人もいれば、おしゃべりを楽しんだり、ゲームをしたりする人もいる。授業の課題やリポートに取り組むメンバーの姿も見られ、絵を描くことを軸にしつつも、堅苦しさのない空間が広がっている。こうした自由度の高い雰囲気が、「うにころ」の大きな魅力となっている。

 年間を通した活動としては、春・秋の静大祭での展示を年2回行っているほか、浜松で開催されているポストカード展への出展や、メンバーによる同人誌の制作にも取り組んでいる。また、静大祭だけにとどまらず、コミックマーケットへの参加実績もあり、学外へと活動の幅を広げている点も特徴的である。

 さらに、うにころでは留学生との交流も盛んで、絵描きを通じた国際的なつながりが生まれている。絵の上達、楽しむこと、そして絵が好きな人同士の交流という目的のもと、うにころは今日もゆるやかに活動を続けている。

うにころ誕生と歩み

 うにころは2025年9月、創立10周年という大きな節目を迎えた。15年9月、デジタル作画を中心に「もっとイラスト中心の絵を描きたい」という学生たちの熱意によって設立された。
 当時、学内には既存の漫画制作サークルが存在したが、より自由な表現と居場所を求めた創設メンバーが、学部・学科や専攻の垣根を越えて集結したのが始まりだ。「うにうに*ころんびあ」というユニークな名称は、可愛らしい語感とコーヒーの銘柄を掛け合わせた遊び心に由来する。
 創立当初は、制作だけでなくゲームや旅行などで親睦を深め、「絵を描くだけでなく、描く仲間と楽しむこと」を重視した活動を展開。この独自の結束力が、後の静大祭での展示やコミックマーケットへの出展、イラスト集の制作といった本格的な対外活動の礎となった。
 25年の大学祭では節目の10周年を記念し、活動の軌跡を形として残すためにフルカラーのイラスト集を制作する企画を実施した。そこには現役メンバーのみならず卒業生も参加したほか、海外から作品を寄せる参加者もいた。
 サークルを離れたメンバーが再び関わり、国境を越えて協力者が集まる様子に、「お絵かき」という共通の趣味で結ばれたサークルの広がりとつながりの強さが改めて示された。
 うにころでは今後も、創作活動を中心に、「ゆるく」「楽しく」「自由」な雰囲気を大切にしながら、本気で絵に取り組む「熱い」姿勢で活動を続けていく方針だ。

創設者・杉山賢さんが語る「うにころ」

 杉山賢さんは、うにころについて、「自分を変えてくれた場だった」と振り返った。創設者として活動を始めた当初はリーダーシップをとるタイプではなかったが、サークル長としての責任感から、中心となって運営に携わるうちに周りを見て仲間を支える視点を持つようになったという。「サークルを立ち上げたことで、新しいことに挑戦するときも『なんとかなるしょ』と思えるようになった」と笑顔で語った。

 「10周年記念の合同誌は、創立8年目くらいから考えていた。コロナ禍でのサークル存続危機を乗り越えて、10周年もおそらく迎えられると聞いて、何かしら記念となるようなイベントが必要だと思った」。

 今では、所属しているメンバーの絵が上達していく様子を目にする時が、OBとして誇らしく、設立して良かったと感じる瞬間だという。絵を描くことは一人でもできるが、仲間と直接会い、技術を共有し合えることで、互いに刺激を受け、「自分も頑張ろう」と思えたと語った。

 大学生活の中で、絵を描くだけでなく交友関係を築き、語り合ったりゲームを楽しんだりと数々の思い出を重ねた。こうした絵と人のつながりを生む場が、現在のうにころの活動へと受け継がれている。

うにころ創設者の杉山さん
(静大静岡キャンパスにて)

現役部員が感じた うにころの〝居心地〟

 現役部員のAさん(3年)にも話を聞いた。1年の時にサークルに参加したAさんは、同じ趣味の仲間が多い環境のためすぐに雰囲気になじむことができ、居心地がよくなったという。   

 Aさんが入部したきっかけは、「1年のときは知り合いも少なくて、せっかくだし交流を広げたいなと思って、このサークルに参加しました。大学に入る前の1カ月ほどの空き時間にイラストを描くことにハマっていたこともあって、大学ではイラスト系サークルを探していました」。

 「絵を描くことは初めてだったのですが、想像以上にのめり込んでいて、絵がうまくなりたいという気持ちがとても大きい時期でした。そんな中サークルに入ることで、もっと絵がうまい人達と交流することができていろいろなことを吸収できました」。

 サークルでは、絵を描く人もいればゲームをしにくる人、ただ雑談しに来るだけの人もいる。各々が自分のペースで過ごしており、『こうしなければならない』という空気がない。そんな雰囲気を気に入ったとAさんは語る。

 「好きなことを好きな形でやっていいっていう『ゆるさ』と、それでもみんなが同じ好きなことでつながっているという共通認識。そんな雰囲気が自分にはすごく合っていました」。

 最後にAさんにとって、うにころは何かと聞くと、少し照れくさそうに語った。「休憩場所ですね。日々の課題や実験の負担は大きいんですけど、それでもサークルのみんなと会って活動することで心が休まって余裕が生まれます。だから今でも絵を続けられていると思います」。自由な雰囲気が心休まる場を作り、絵に向き合う気力を養う。そんなうにころを、Aさんは大切な居場所だと感じている。

うにころのこれから

 10年という長い年月の活動を経たうにころだが、初代サークル長である杉山さんから見て、驚くことに設立当初からあまり目立った変化はないという。「強いて言うなら、うにころに入る前から絵がうまい人が増えたことは変化かもしれない」という。

 パソコンなどを使用して描く「デジタルイラスト」が主流になっている今、デジタルイラスト特有の複雑な表現に親しんでいる人が多いことが原因だと考えているようだ。「10年間続いた理由は、メンバーの尽力とイラストサークルとしての特性にあると思う」と語った。

 20年から22年ごろ、コロナ禍の影響で大学への出席が少なくなり、少人数サークルの活動停止が相次ぐと言う出来事があった。他のイラスト制作系サークルが活動停止していく中で、うにころだけが存続できたのは、漫画や映像制作を主題に据えるのではなく、比較的ハードルの低いイラスト制作を掲げており、新しいメンバーが入りやすいためだと考えているようだ。今でも趣味でイラストを描くという杉山さんだが、社会人になった今、うにころで皆をまとめた経験が良い経験として自分の中に残っている。サークル員の皆には自分と同じように、サークルで楽しんで、いろいろな経験を積んでくれたらいちばんうれしい」と今後のうにころに期待を寄せた。

すぎやま・けん 1996年生まれ。静岡市清水区出身。静岡大学農学部卒、現在は会社員。

 取材班は、高橋皇汰、福本美月、谷川彩月、盛奏太、坂谷内遥香、山田きいち(いずれも静岡大学人文社会科学部「地域メディア論」履修生)

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