終点に焦点!未知へのバス旅第一弾「美和団地前編」
バスで静岡大学の静岡キャンパスまで通学している人なら一度は見たり、聞いたりすることがあるだろう。「美和団地前」、「足久保団地」、「奥長島」。静岡キャンパス前のバス停で乗車し、静岡駅で下車する学生は、その先の聞いたことしかない行き先はあまり興味がないかもしれない。
そこで我々しずおかキャンパるは、バスの終点まで行ってみて、どんなものが待ち迎えているのか、それだけでなくその道中での乗客や街並みの変化を調査してみることにした。まさに「終点」に焦点を置いたバス旅を試みた。今回はその第一弾として、「静岡駅・新静岡御幸町経由 美和団地前行き」に乗ってみた。
(終点「美和団地前」取材班)
まずは静大生ならお馴染みのバス停「静大前」から「美和団地前」へ行ってみることに。

「静大前」バス停と乗車するバス

乗車したときの静大生にとってはおなじみの風景
静大前から乗る学生のほとんどは見る限り、交通系ICカードで乗っているようだ。取材班の一人である筆者は大学近くで下宿をしており、バスを滅多に使わないため、乗車口で発行された紙の整理券を手に握りしめ、乗り込んだ。

デジタル化の今もなお存在する整理券
午後3時ごろに乗車した際の客層はというと、当然といえば当然だが、ほぼ静大生がほぼ占めていた。だが、学生だけではなく、地域住民の方もチラホラ見られた。静岡大学の前のバス停だからといってその学生専用のものではないのを改めて感じた。
静岡キャンパス周辺には三つのバス停「静大宮川」、「静大前」、「静大片山」があり、順に学生がバスの中にあふれていくみたいだ。なので、椅子に確実に座りたいのなら、「静大宮川」から乗るのをお勧めする。取材時は、授業終わり直後のバスではなかったため、「静大前」で乗っても立つ人はいなかった。
乗客の様子はというと、意外にもスマホを触っている人は少なかった。
筆者は、スマホを一切触らずバスの揺れをまるでアトラクションのように楽しむタイプなのだが、他の乗客もそうなのだろうか。

乗客の様子
静岡大学を離れて、約20分でにぎやかな静岡駅前に近づいてきた。
帰宅ラッシュ前という時間帯もあり、そこまで市民が入ってくることもひとり、ふたりぐらいで、全体的に学生の割合が多いまま、静岡駅に一旦到着した。

静岡駅に到着したときの外の風景
そのまま残る人はおらず、ほぼ全員静岡駅から降りていった。そして、静岡駅から乗る人は先ほどの人数よりかは多く、年齢の幅も広くなった。

静岡駅前での乗客の乗降の様子
この後バスは、新静岡駅前に向かい北方向へ。私鉄の静岡鉄道の起点である新静岡駅の近くのバス停「新静岡駅」以降は降りる人ばかりで、乗る人はいなかった。

静岡駅を北に進むとある静岡浅間神社の一の鳥居を横目に進んでいく

落ち着いた街並みへ再び
静岡駅周辺のビルが建ち並ぶ場所から一転、静かな住宅街へ進んでいくなか、信号を待っていると、バス車内から微かにクラシック曲が流れてくる。後から調べてみたが、バスを運営する「しずてつジャストライン」は、停車中にエンジンも止まるアイドリングストップ時にクラシック曲が流れる仕組みを導入しているらしい。筆者は、目的地へのせかした気持ちを落ち着かせてくれるバスからのささやかなおもてなしのようだと感じた。

バスから見た安倍川
静岡駅から約25分。バスは安倍川を渡り、美和団地へと近づいていく。田畑が軒を連ねて、自然みがあふれるようになった。そして、ついに到着かと思われたが、まだ終点の直前の安倍口団地だそうだ。

安倍口団地

安倍口団地案内図
それ以降乗客が取材班を除いて一人となったところで、終点「美和団地前」へと無事到着した。「静大前」から約1時間、午後4時10分ごろ取材班のバス旅は終わりを告げた。

「美和団地前」バス停

バス停から見た美和の景色
橋のようなものは新東名高速道路
着いた途端、違和感を感じた。住宅地は広がっているものの、団地前なのに私たちが想像した造成された団地らしいものがない。
もしかしたら少し歩くとあるのではと思い、取材班は周辺を散策した。住宅地を抜けると農地が広がり、取材班の一人は地元である愛知の豊田市を思い出したという。数々の情景は、どこか懐かしい気分、そして温かい気持ちにさせてくれた。

ブロッコリーやとうもろこし栽培されている農地

住宅地を流れる用水路

用水路から水をくむ農家

水やりをする農家
また美和では、堤防沿いに河津桜が植えられており、「美和桜」とも呼ばれ親しまれているそうだ。静岡市内で河津桜を楽しめるとはしらなかった。来春にもう一度訪れてみたい。

だが、肝心の「団地」らしいものは見つからない。私たちは探すのをあきらめて、バスの帰路についた。これに関して、後日「しずてつジャストライン」に話をうかがったところ、衝撃の返答が返ってきた。団地というのは計画的に住宅や、工場を密集的に建てた地域のことを指すらしい。そのため、「団地=アパート、マンションなどの集合住宅が集まった立地」をいつでも指すというわけではないそうだ。つまり、“計画的に造成されていれば”一軒家が広がるこの地域もれっきとした団地ということだ。
。住宅が密集していることがわかる。-1024x769.jpg)
バス停にある住宅図(プライバシー保護のため苗字が書かれていた箇所は編集済み)
住宅が密集していることがわかる
今回終点に関することを調査してみたが、新たな知識をつけることができ、また移動手段としかみなしていなかったバスにも想定外な発見ができ、楽しい小旅になったと思う。
豊田市出身のもう一人の記者は、「普段生活している所から少し離れただけで、全く違った景色が広がっているとは思ってもみなかった。目的地だけ決めて、(終点下車後)そこで気になるとこへぶらぶら歩いていくのは意外と楽しいものだった。」との感想だった。彼女にとっても充実したバス小旅になったのではないか。
ちなみにバス料金は、片道730円だった。日々のストレスを忘れさせてくれるバスから見る景色や、到着地の景観をぜひ皆さんも楽しんでみてはどうだろうか。
次回もぜひご期待ください。
終点「美和団地前」取材班は、木村航輔(静岡大3年)、水原花南(静岡大2年)。